
2023年7月19日、日本文学振興会(理事長・飯窪成幸)から第169回芥川龍之介賞が発表されました。受賞作は、市川沙央さんの『ハンチバック』(「文學界」2023年5月号)。市川さんは初めてのノミネートでの受賞となります。
◆作品概要
主人公・井沢釈華は、先天性の遺伝性筋疾患のため背骨が湾曲し、電動車椅子と人工呼吸器を使いながら、裕福な両親が遺したグループホームで外に出ない生活を送っている。彼女は自室で有名私大の通信課程を履修し、コタツ記事を書いては収入全額を寄付。さらに18禁TL小説を投稿し、「生まれ変わったら高級娼婦になりたい」とつぶやく。
しかし、ある日グループホームのヘルパー・田中にTwitterアカウントを知られてしまい…。
◆著者略歴
市川沙央(いちかわ さおう)は、1979年生まれ。早稲田大学人間科学部eスクール人間環境科学科卒業。筋疾患先天性ミオパチーによる症候性側弯症および人工呼吸器使用・電動車椅子当事者。2023年「ハンチバック」で第128回文學界新人賞を受賞しデビュー。同年「文學界」5月号掲載、単行本は6月22日文藝春秋刊。
『ハンチバック』は、市川沙央さんのデビュー作であり、挑戦する主人公の物語が描かれています。今回の芥川賞受賞により、市川さんの魅力的な作品がより多くの人々に知られることでしょう。市川さんのこれからの活躍にも期待が寄せられます。