
福島県内で季節外れのインフルエンザが流行し、5月22日から28日までの82定点医療機関当たりの感染者数は平均3.04人で、流行目安の平均1人の3倍以上となった。特に学校で集団感染が相次ぎ、5月31日は郡山市、須賀川市、喜多方市の3市の公立学校の計7クラスが学級閉鎖となった。専門家は新型コロナウイルスの感染対策の緩和や、コロナ禍にインフルエンザがはやらなかったために免疫力が低下したことが背景にあると指摘し、注意を呼びかけている。
福島県によると、5月22日から28日の1週間に県内の定点医療機関から報告されたインフルエンザ感染者数は249人で、前回の調査(5月15日から21日)から37人減ったが、郡山市で定点医療機関当たりの平均感染者数が11人となり、注意報が出る基準となる10人を超えた。
インフルエンザ感染者数のシーズンごとの推移は、コロナ禍の2020年から2021年シーズン、2021年から2022年シーズンには流行しなかったが、感染者数は今年に入って増加に転じた。郡山市のかわなこどもクリニックでは、5月22日からの1週間で32人の感染が確認された。冬から毎週1桁台で推移し、大型連休明けから増加した。
川名冬彦院長(66歳)によると、大半はインフルエンザA型で、例年、A型の流行は2月で終わる。その後に感染力が比較的弱いB型の患者が増えるが、遅くても4月には収束する。5月末まで流行が長引くのは異例だという。
インフルエンザ以外にも細菌性の胃腸炎や中耳炎などの感染症も増えている。川名院長は「コロナ禍の制限緩和による人の動きの活発化や、新型コロナ以外の感染症に対する免疫低下が影響している可能性がある」と指摘している。主に飛沫で感染するため、マスクの着用が効果的だとしている。
郡山市の守山小学校は5月27日から5日間、1クラスを学級閉鎖している。児童のマスク着用は各自の判断に任せていたが、着用を促しているという。大木淳校長(57歳)は「コロナが落ち着き、子どもたちの顔がようやく見られるようになった。一刻も早く収束し、児童の元気な顔が見られるようになってほしい」と願っている。
インフルエンザ流行の広がりが懸念される中、高齢者施設などは集団感染予防に気を配る必要がある。福島市の有料老人ホームニチイケアセンター福島大森は、新型コロナの感染症法上の位置付けが5類に引き下げられてからも、職員に出社時の体温測定や施設内の1日2回の消毒を続けている。食事の補助など、利用者に触れる際には手袋、マスクの着用は欠かさない。施設長の高橋正史さん(62歳)は「大勢の高齢者が集まる施設として、気を引き締めなければならない」と話している。